『LIFE SHIFT』から見たブロガー
『LIFE SHIFT』の簡単な要旨
寿命の長命化によって従来の教育→仕事→引退という3ステージの人生設計が困難になってくる(引退の時間が長引く一方、年金が減少し、引退後の生活に十分な貯蓄を築けない)中で、1生涯のなかで転身やキャリアの中断をはさみながら、マルチステージに人生設計を行おう、というもの。
その中で、金銭と言った有形資産とは別に、スキルや人的ネットワークといったものを無形資産として評価し、その投資を有形資産の形成とのバランスを取りながら行っていく必要がある。
ブロガーをLIFE SHIFT的に解釈すると?
上記のマルチステージの実現のために挙げられているのが、18-30歳代が将来の選択肢を熟考するために、道筋を固定せずに柔軟な期間を長時間続けることで、ネオテニー(幼形成熟)を獲得するということ。若い年齢のうちに、変化に対応できるように、スキルやネットワーク、新しい知識といった開かれた姿勢などの無形資産の形成に力を注ぐのだが、これを実践している典型例がブロガーなのではないか?と読み終えたあと考えるようになった。
彼らは就職によって将来をある程度固定することなく、自らのブログという資産を形成しベーシックインカムを得るのと同時に、その活動によって自らの評判と言った無形資産を作っている、と考えることができるのではないか?とこの本を読了したあとに強く思ったことである。
新卒ブロガーという存在に対して批判している人とブロガーではそもそも人生設計が異なるのである。ブロガーの存在に対して批判的な姿勢を見せる人はマルチステージの人生プランをとっていることは少ない。(もちろんブロガーのここの活動に対する批判はまた別問題だが) これはYoutuberといった新興の他の職業にも言えるかもしれない。
旧来の人生プランが立ちゆかなくなる中で、これからどのように生きていけばいいのか、という問題に回答できるロールモデルは存在しない。なぜなら、いまの後期高齢者は旧来の3ステージ型人生設計による引退者が殆どを占めるからである。
長寿が普通になりつつある世代はまだ人生の序盤から中盤にしか存在しないため、どのような路線がモデルになるかがわからない。だからさまざまな実験することを推奨している。それをふまえると、アーリーアダプターが多いブロガーはこの本の新しい世代を体現している。
内省を込めたブロガー批判
これまでブロガーを肯定的に捉えてきたが、懸念の一つとして考えられるのが「無形資産の投資を十分にできているか?」というものである。とくにサラリーマンに比べて人的ネットワークはコミニュティに所属していない分よりいっそう意識して取り組む必要がある。
自分はインドアで、新しいコミュニティに飛び込むのを億劫がっていたが、この状態がいいわけがない。もっと積極的に参加する必要を痛感する。(そういえば複数のコミュニティに所属して流動性を高めるってことはphaの『持たない幸福論』でも言っていたな)
わざわざ記事にしないからだろうけど、ブロガーの所属しているコミュニティってブロガー同士か地元かぐらいしか目につかない。自分で開いているサロンはコミニュティって言っていいのかわからない。
それにしても、『LIFE SHIFT』、これからの人生を考える上で必読と言える。